ひとんちの外観見て、この家ダサいなー!とか、思いますか?
某HM(ハウスメーカー)さんと商談中、そのHMの家が多く立ち並ぶ分譲地を案内してくれたことがありました。営業さんの狙いは、同社のウリであるキレイが続く外壁をアピールするためでした。
「あの家は雨だれの跡で黒くなっちゃってますね…」
「あの家は緑のコケのようなものが付着してますね…」
「でも弊社の外壁は、築10年以上でも全然汚れないんです!」
というやつです。
私はこのとき人生で初めて、人様の家をまじまじ見ました。しかも、ちょっと粗探しをする目線で、です。
ごく一部の他人を意識する必要はない
この出来事であらためて、むしろ家の外観にはこだわらなくてもいいんだ!と確信することができました。
だって普通は、ひとんち見て、この家ダサいなー!とか思わない。というか、そもそも普通はひとんちなんてジックリ見ない。(営業さんとしては、オプションのイイ外壁をアピールするはずだったのに、あらぬ方向に…。)
広大な豪邸とか、奇抜なデザインだったり、放置気味で傷んでいるとかであれば目にとまるかもしれないけど、よほど突出していない限り、大半の家はただの風景ですよね。
もしひとんちをジックリ見てる人がいるとしたら、それはごく一部の人だけ。注文住宅を建てた経験のある人、または建てようと思っている人、それか建築が好きな人くらいじゃないでしょうか。(これを読んでくださっている皆様はいかがですか?)
だから強いこだわりがないんだったら、誰も見ていないような細部にコストをかけないで、自宅がただの風景の一部でも、別にいいんじゃないですかね。
設計士がダサいって言うから
もちろん、自分が好きなテイストがあるとか、何か自分軸があって外観を追求しているのであれば、否定するつもりは全くないですし、カッコイイ家は自宅に帰るたび幸福度に繋がるから、むしろ良いことだと思います。
でも、外観にこだわる理由が、設計士さんにダサいって言われたからとか、第三者の目を意識してのことなら、「一切気にする必要はない!」と言いたいです。基準は自分が好きかどうか、幸福度に繋がるかどうか、それだけです。
私も、打ち合わせ中に「1階と2階で窓の位置を揃えないと外観がダサくなる」と設計士さんに言われたことがあります。
「〇〇はダサい。」とプロに言われるとひるみますが、窓の位置は内装優先で押し切りました。完成から1年経った今も何の後悔もないですし、「やっぱり窓の位置、揃えておけば良かったな…」とか思い出すこと自体ありません。
設計士さんはたぶん職業病だから気になるのかもしれないけど、家のオーナーである素人の私は別に気にならないと思ったし、他人は尚更、ひとんちの1階と2階の窓の位置なんて、わざわざ見上げてまで誰もチェックしてないでしょ??
(余談ですが…窓の位置が揃ってれば(美観的に)良くて、ズレてたらダサい、ってのもなんか安直だなぁと感じてしまいます。そんな基準、誰が言い出したんだろう?そしてなんで当たり前のように皆信じてるんだろう?)
至近距離でカッコイイ家と、街並みの中でカッコイイ家は違う
これを意識している人ってどれくらいいるんでしょうか?
私が外観にこだわらないもうひとつの理由に、どんなに自宅をオシャレにしても、そもそも街並みがまずダサいじゃん。という考えがあります。
私が住む東京23区だと、隣地ギリギリ&電線ゴチャゴチャで土台の景観がまず悪いので、一歩引いて遠くから見てもカッコイイ家を目指すのは、相当な情熱をかけてデザインしても難しいと思いますし、費用対効果が悪すぎます。
というか、一歩引いて多角的に眺められるほど道路が広くなかったり…。
なので、私の場合は、自宅単体で高得点を目指すというよりは、平均点の家で街並みとの調和を重視するという考え方です。どんなHMでも、特別コストをかけずとも平均点の見ばえにはしてくれるはずです。
この観点は、街並みがキレイに整っている分譲地とかだったら、また違ってくるかなとは思います。
むしろ大事なのは
カッコイイ家かどうかを左右するのは、むしろ住み始めてからです。
どんなにシックな外観の家でも、植栽や雑草はボーボーに生えてきますし、カラフルな子供用の自転車も置くことになるかもしれません。外観だけじゃなく内装も同じですよね。こだわり抜いた空間に、チョイ置きした服や、生活用品のパッケージ…。
住み始めてからの何十年、オシャレな暮らしを意識して生活できなければ、カッコイイ家を維持するのは難しいです。それなら、外観をグレードアップする予算は家を維持するための長期的な費用に回したほうが、幸福度に繋がると私は思っています。
最高にカッコイイ家が完成しても、引き渡しのときが最高潮で、あとはダウンするだけなんて悲しすぎますから…(でも現実はそうなりがち)。
エラそうに語ってますが、私自身、もし20代で家を建ててたら「人からオシャレに見られたい」と思ってカッコイイ外観を目指していたかもしれません。
30代になったら「人からこう思われたい」の時期は過ぎ去って、「誰からも何とも思われたくない」になってしまったんですよね…。
だから、印象に残らない風景の一部みたいな家で、素通りされるくらいがちょうどいいんです。