子供の頃、藤城清治の影絵劇の上演を劇場で観たことがあります。
そんな藤城先生の美術館が那須にあるということを知り、このたび行ってまいりました。
敷地が森になっていて、なんと教会もあるのです。ステンドグラスは先生がデザインしたもの。
購入したポストカードの一部。
この小人ちゃん、一昔前の「TEPCO天気情報」のキャラクターと認識している方も多いのでは。
藤城先生の作品は、ブルー・イエロー・ピンクの小人たちのメルヘンな世界というイメージを持っていましたが、それは正しいようで正しくなかったです。
影絵の神髄は「光」と「影」。
あまり綺麗事とか好きじゃないんですけど、愛情とか、人生経験とか、簡単には言語化できない思いが作品にあらわれていて、展示のひとつひとつに素直に感動しました。
藤城先生は98歳(2021年10月時点)でなんと現役です。
戦時中20歳前後だったとのことで、貴重な戦争経験世代。
東日本大震災や、近年のコロナウイルス、それにロシア・ウクライナ戦争など、天災や戦争に心を痛め、平和を願う気持ちが作品を通して感じられて、でも決して押しつけがましくはなく、なぜか不思議と心地よく、考えさせられるような展示も数多くありました。
光と影・・・
藤城先生の作品は、ただのメルヘンじゃない。
でもそれを言語化するのは難しい。多分、大人になった今なら理解できるんだと思います。
皆様、ぜひ行ってみてください。
…などと偉そうに語ってますが、美術館の解説がすごく充実していて、作品のテーマや制作の背景なども明かされているので、私のような感性のニブい人でも理解できるようになっています。
先生の作品にたびたび登場する小人の正体も明かされていました。笑
ところで、わがやには「生命賛歌」という藤城先生の作品があります。
美術品収集が好きだった父が購入したんだと思いますが、実家で飾っていたわけではなく、他の美術品とともに屋根裏で眠っていました。額装の状態で幅110cmくらいあって、6畳間に飾るにはちょっと大きいです。
今の家の建て替え前、実家の取り壊しのための大掃除でこの作品を見つけて、冒頭で書いた影絵劇に行ったこととか、子供時代の思い出が急によみがえりました。
それで今回、那須まで行こうと思ったんです。
小さい新居なので、実家に眠っていた美術品の大半は持って来られませんでしたが、この作品だけは手放さずに大切にしています。