猫が来た

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ずっと、猫を飼ってみたいと思っていた。

昨年までは賃貸マンションで夫とふたり暮らし。複数路線徒歩5分以内、築40年の35㎡に10年住んだ。パラメーターを立地に全振りしたので設備も収納もイマイチで、ペットも不可だった。

不動産屋の前を通りかかるたび、他に良い物件がないかチェックしていたけど、結局その賃貸マンション以上の物件に出会うことはなかった。

そのマンションに住んでいた10年間は、何度も転職を繰り返し、仕事の後は家業を手伝ったり国家資格取得のスクールに通ったり…ライフスタイルは落ち着かず、ほとんど家にいない生活だった。

仮に自宅がペット可のマンションだったとしても飼育は実質的に無理なことは感じていたし、育てていく自信もなかった。

そんな中、昨年家を建てて引っ越すことになり、ついにペット不可から解放されることになった。
…はずなのに、猫を迎える行動に出ることはなかった。

「飼いたいけど無理だから仕方ない」となんとなく自分を納得させながら、この先10年20年と猫の世話をし続けることができるのか?(仕事もまともに続かないのに…)という自問の期間があまりにも長すぎたため、突如「その気になれば飼える」状況が訪れても、覚悟が追い付いていなかった。

矛盾するようだけど、現実にその一歩を踏み出すことはできないくせに、育て方や保護猫の受け入れ等、下調べだけは続けていた。

猫の寿命を考えるとできるだけ長く共に過ごしたいので、もし迎えるなら「子猫であること」が唯一の条件。猫の種類はネットでたまたま見たサイベリアンという種類になんとなく憧れがあったくらいで全く詳しくはないので、雑種で何かご縁があった子がいれば…なんならうちの庭に野良の子猫が迷い込んできたらその子を…という妄想を抱いていた。

たまにペットショップやホームセンターのペットコーナーを通りかかれば、目の保養に見に行っていた。店員さんに勧められても抱っこはせず、気が済むまで眺めたあと、いつもの「この先10年20年、世話ができるだろうか…」の自問の末にそのまま帰るということを繰り返していた。

そんなある日、外出した先で近くにペットショップがあったので立ち寄った。そしてそのショップにいたサイベリアンの子猫…の隣にいたラガマフィンという聞いたこともない種類の子猫に、出会ってしまい、「この子だ!!!」運命めいたものを確信するも、やはり「この先10年20年(略)」…と自信が持てず、結局その日もそのまま帰ることにした。

雑種の保護猫で、どこかからご縁があれば…などと勝手なイメージをしていたので、血統書つきの猫を迎えることは想定していなかったけど、悩みに悩み抜いた結果、「この出会いを逃すようでは、もう猫を飼うのは一生無理だろう。」と思ったので、一大決心をし、翌朝一番で迎えに行くことになった。

10年かかって、ついに、わがやに猫がやって来た。

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